日本にはレバ刺しや馬刺しなど「生肉」を食べる文化があります。

ですが、生の肉は加熱したものより扱いが難しく、レバ刺しを食べて

集団食中毒が起きたというニュースがまだ記憶に残っている人は多いと思います。

 

その中で「鳥刺し」というのはやや安全な気がしますが、

鳥刺しは本当に安全なのでしょうか?

 

ここでは鳥刺しについてや、悪い鳥刺しを食べてしまった場合の

腹痛や下痢など鳥刺しを食べた事によって起きる食中毒の症状についても説明します。



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生肉は、人にとって基本的に危険!

ライオンやトラは、肉を焼いたりしません。

捕まえた獲物は、そのまま生で豪快にかぶりつきます。

 

だからつい、「動物も生で肉を食べているんだから、人間も大丈夫でしょ!」と

思う人もいます。

 

ですが、それは間違いです。

 

まず食中毒が起きる原因ですが、食中毒を引き起こすのは、細菌です。

 

動物の体の中には、普段から細菌が住みついています。

この細菌は勝手に住み着いておきながら

宿主の細胞を壊そうとしたり病気を引き起こそうとしたりする事があります。

 

ですが、宿主が生きている間は免疫細胞が働いていたり

宿主の細胞自体が固い細胞壁で守られたりしていて細菌は中々手が出せず、

そこまで悪さができません。

 

ですが、その宿主が死んだとしたらどうでしょうか。

宿主が死ぬとまず細菌の動きをパトロールしていた免疫細胞の動きがストップし、

さらに栄養が供給されなくなった細胞は細胞壁を保つ事ができません。

 

そうなると細菌の天下です。

細菌は自由に体の中を動き回り、細胞を食べまくり、どんどん数を増やしていきます。

 

この細菌が増えた状態の肉を食べると、食中毒を引き起こします。

そして面白い事に、食中毒は人だけではなく、

生肉を食べて生きているライオンやトラでも起きます。

 

腐敗肉を好むコンドルなどは別ですが、

ライオンやトラなど比較的新鮮な肉を食べる動物は食中毒にならないように

獲物が死んでからすぐに(細菌が増えない内に)食べてしまいますし

一説には嗅覚で菌の匂いをかぎ分けて、

細菌が多い場所は食べないようにしているともされています。

 

また、頻繁に仲間の毛づくろいをする事で

仲間の毛皮に着いた食中毒を起こす細菌を定期的に摂取し、

細菌に対する免疫を少しずつつけているそうです。

 

生の肉を食べる生き物は、生まれた瞬間からそのように訓練して、

食中毒を起こさないような生肉の食べ方を学んでいます。

 

つまりどういう事かというと、生の肉を食べるというのも案外楽ではないという事です。

 

そして人間はどうかというと、現在人はとても清潔な環境で生きています。

また、動物をその場ですぐ食べるという生き方もしていません。

 

どんなに「新鮮です!」と言われても、獣の場合は魚のように、

「生簀にいるさっきまで生きていたものを

その場でさばいてその場で食べる」なんて事はしませんよね。

 

魚肉ではなく獣肉の場合、どうやっても肉が死んでから時間が経ってしまいます。

また、特に日本人は普段から生肉を食べる生活も

日常的に細菌を舐めるという生活もしていない為、

死んだ肉から繁殖する細菌対する抵抗力はほぼないと言ってもいいでしょう。

 

ですから、

「人も動物だから、生肉を食べても大丈夫」というのは間違っています。

 

むしろ、病気を引き起こすリスクの方が高いので、

人にとっては「生肉は食べ物ではない(焼かないと食料にならない)」とさえ

言えるかもしれません。



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鳥刺しは安全?食中毒は起きる?

先程は「人が生肉を食べる事の危険性」をずらずら書いていきましたが、

ここでは少し視点を変えてみましょう。

 

ライオンやトラは食べたら危険な肉や部位を本能でかぎ分けていますが、

そのようなセンスや嗅覚人がないものの、人には知恵があります。

 

ですから具体的にどんな菌が食中毒を起こすのか、

菌を増やさず安全に生のまま肉を食べるにはどうすれば良いかを考える事ができます。

 

その結果が、鳥刺しや馬刺しなどの生肉を「刺し」という状態にしたものなのです。

 

生の肉をそのままかぶりつくのは人にとって危険ですが、

きちんとした場所で肉が解体・保管され、きちんとした料理人が扱った生の肉なら

食べても大丈夫です。

 

ですから、鳥刺しなども「生の肉だから危険!」と

そこまで目くじらを立てる事もありません。

 

ただそうはいっても、「店で提供された生肉食べて食中毒が起きた」というニュースは

度々流れますよね。

 

生肉は非常にデリケートなので、例え店で出された物であっても

ちょっと扱い方を間違えるだけで生肉はすぐに食中毒を起こしてしまいます。

 

ですから鳥刺しなどの生肉を食べる場合は、

提供する店からきちんと選ばなくてはいけません。

 

ところでさきほどの記事では、

食中毒は死んだ肉から発生した(あるいは元からいた)細菌が原因だと書きました。

 

鳥刺しは死んだ鶏からできていますから、

当然鳥刺しを食べても食中毒が起きる危険はあります。

 

では鳥刺しでは、具体的にどんな菌が食中毒を起こすのでしょうか。

 

鳥刺しで食中毒を起こす主な菌は、以下の2種類です。

 

カンピロバクター

サルモネラ

 

ただ、感染するのはカンピロバクターの方が圧倒的に多いですね。

では、次の項目ではそれぞれの細菌を詳しく見ていきましょう。



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鳥刺しで食中毒を起こす細菌:カンピロバクター

鳥刺しで食中毒を起こす細菌と言えば、「カンピロバクター」です。

 

このカンピロバクターはとても食中毒を起こしやすい細菌で、

平成28年の東京の食中毒件数では食中毒を引き起こした細菌として

第二位の地位を獲得しています。

 

カンピロバクターは牛や豚、鶏など人がよく食べる家畜のほか、犬や猫などのペット、

さらにはハエなどの虫にもいる細菌で、特に鶏から見つかる事の多い細菌です。

 

このようにカンピロバクターは色んな動物の体に勝手に住み着いていますが

実は地球の陸上に住んでいながら通常の空気の中では暮らせず、

普段は宿主の腸の中に潜ってひっそりと生きています。

 

カンピロバクターに感染すると、カンピロバクターは

カンピロバクター腸炎というものを発症させます。

 

潜伏期間は2日~5日です。

元々腸にいる細菌なので腸に居座って悪さをし、

下痢や腹痛、発熱など典型的な食中毒を引き起こします。

 

ただ不思議な事に、カンピロバクターに感染して食中毒のような症状を起こすのは

人間だけだとされています。

 

例えば鶏がカンピロバクターに感染した事で下痢にでもなれば、

養鶏所の人はその鶏を取り除いて事前にカンピロバクターが人に移るのを

防ぐことができますがそうではなく、カンピロバターを持っていても

鶏はピンピンしているので見つけにくいんですね。

 

また、同じ鳥刺しを食べてカンピロバクターに感染しても、症状が重い人もいれば

全く出ない人もいます。

 

それはその人の体調や抵抗力、そして腸内環境に強く影響されているそうです。

特に腸内環境が良いと、カンピロバクターは腸に入ってきても悪さがしにくいようです。

カンピロバクターはこれが怖い!ギラン・バレー症候群

カンピロバクターは腹痛や下痢など典型的な食中毒の症状を引き起こします。

 

病院に行って治療する事もできますが、

下痢によって菌が完全に体外から排出されてしまえば治るので自然治癒も可能です。

(勿論心配なら、病院へ行くのをおすすめしますが)

 

要は、「トイレに籠っていればいつか治る」というものです。

ですが安心してはいけません。

 

それだけではないのがカンピロバクターの恐ろしい所です。

 

カンピロバクターに感染すると、

たまに「ギラン・バレー症候群」という病気を引き起こします。

 

これはとてもやっかいで、ギラン・バレー症候群は

筋肉を動かす運動神経が阻害されて手足に力が入らなくなってしまう病気です。

 

重症化すると自分で呼吸をする事もできなくなり、

人工呼吸器や気管切開が必要になります。

3~5%の人は死にまで至るそうです。

 

ギラン・バレー症候群はまだよく知られていない難病の一つで、

死なない限り一応は治るとされていますが、

一度この病気にかかってしまうと元の体の状態に戻るには時間がかかり、

中には重い後遺症を残す人もいます。

 

ちなみに、ギラン・バレー症候群は

子供からお年寄りまで誰でもかかる可能性がありますが、

日本の平均発祥年齢が39歳だそうです。

 

39才というとまだまだ働き盛りですし、子供がいる人もいるでしょう。

そんな年齢で手足が動かなくなったり死んでしまったりしてはひとたまりもありません。

 

この年齢に当てはまる方は、鳥刺しなどの生肉は避けた方がいいかもしれませんね。

鳥刺しで食中毒を起こす細菌:サルモネラ菌

鳥刺しで食中毒を起こす細菌、次は「サルモネラ菌」を見ていきましょう。

 

サルモネラ菌も自然界に広く存在している細菌で、牛・豚・鶏などの家畜の他、

犬や猫などのペットにもいます。

 

潜伏期間は半日~2日とカンピロバクターより早いです。

サルモネラ菌に感染すると、吐き気や腹痛の後に下痢や嘔吐、発熱の症状が現れます。

これも、典型的な食中毒の症状ですね。

 

そしてこちらも、下痢や嘔吐などによって菌が体外に排出されてしまえば

基本的には治ります。

(こちらも、ひどい場合は病院をおすすめします)

 

ただ、菌が別の部位にうまく取り付いてしまうと腫瘍ができたり筋肉が腫れたりして

治療には手術が必要になる事もある、油断できない細菌です。

関連記事:牛肉の臭みの消し方!重曹や玉ねぎ・牛乳が効果的?

腹痛や下痢は食中毒の症状が大!

ここまで鳥刺しを食べる事で食中毒を引き起こす細菌を見てきましたが、

どちらも腹痛・下痢・嘔吐など「ザ・食中毒!」といった症状を引き起こします。

 

もし鳥刺しを食べて半日~5日くらいの間に腹痛や下痢が起こったら

鳥刺しが原因の食中毒に感染している事を疑ってください。

 

どちらも重篤な別の病気や症状を引き起こす事もあります。

 

通常、下痢や嘔吐で菌が完全に外に出てしまえば治るのですが、

腹痛や下痢が静まった後も体が変であったり、

いつまで経っても腹痛や下痢が治まらないのであれば、病院へ行くことをおすすめします。

関連記事:カレーは何日もつ?常温と冷蔵庫の場合について詳しく解説!

鳥刺しを安全に食べるには?

カンピロバクターもサルモネラ菌もとても恐ろしい細菌ですよね。

ところで、これらの細菌って殺す事はできないのでしょうか。

 

実は、とても簡単なやり方で完全に死滅させる事ができます。

それは「加熱する」事です。

 

カンピロバクターもサルモネラ菌も熱に弱く、

その部位(中心)を1分間、75℃以上の熱で熱するだけで殺す事ができます。

 

またカンピロバクターに至っては空気(酸素)にも弱いので、

普通に外に放置するだけでもどんどん死んでいきます。

※ただカンピロバクターは肉に潜る事ができるので、

表面が空気にさらされると肉の奥に逃げ込んでしまい、

外に出すだけでは完全に死滅させる事はできません。

 

ですから、鳥刺しを安全に食べるには加熱すればいいんです!

…と言いたい所ですが、熱を通してしまうとそれはもはや鳥刺しではありませんよね。

 

ではここで、鳥刺しを安全に食べるポイントを紹介しましょう。

鳥刺しを安全に食べるには、リサーチ力と自己管理力が大切になります。

 

まず鳥刺しを外で食べる場合は、きちんとしたお店を選ぶようにしましょう。

何の情報もないまま店に入って鳥刺しを頼むのはあまりおすすめできません。

 

鳥刺しが食べたくなったら、事前に店を調べて

生肉の扱いがしっかりしている所を選ぶようにしましょう。

 

店で総菜の鳥刺しを買って家で食べる場合はちょっと難しいのですが、

食べる前にまず見た目や臭いを確認しておきましょう。

 

菌がいるかどうかはわかりませんが、

肉が悪くなっていないかどうかくらいは分かります。

 

また、鳥刺しを食べる前には万全に体調を整えておくことが重要です。

もし鳥刺しにカンピロバクターやサルモネラ菌がいたとしても、

健康で強い体をしていればある程度は自分の体の中の細胞がやっつけてくれます。

 

逆に体が弱っていると、少しの細菌でも重篤な病気を引き起こす事もあるので、

体調がすぐれない時は鳥刺しなどの生肉系は食べるのをやめておくのをおすすめします。

 

腸内環境を整えて体を強く!

 

カンピロバクターもサルモネラ菌も、基本的には人の腸で悪さをします。

ですが、その腸内環境が良ければどちらの細菌もあまり悪さできません。

 

という事で、鳥刺しを安全に食べたい!という方は

ヨーグルトを食べて腸内環境を良くしましょう。

 

実は腸内というのは、たくさんの種類の菌がいるという事が大事です。

例え良い菌でも、その1種類だけが極端に多いとなると

腸内のバランスを崩してやはり体調が悪くなります。

 

そこでこちらですが、こちらは色んなヨーグルトがセットで入っています。

 

ヨーグルトに入っている乳酸菌の種類も異なるので、

毎日違うものを食べれば腸内環境もかなり多様性のある状態になります。

 

鳥刺しを食べる前は、ぜひこちらを食べて腸内を良くしてくださいね。



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関連記事:牡蠣のあたる確率や時期は?加熱すれば大丈夫なの?

まとめ

鳥刺しはきちんとした安全管理を行えば、安全に食べる事ができます。

ですが生肉は扱いが難しいので、やはり食中毒が起きる事はあります。

 

鳥刺しを食べてから半日~5日ていどの間に起こるの腹痛や下痢は、

食中毒の可能性が高いです。

 

鳥刺しを食べた事によって起きる食中毒は別の病気を引き起こす事もあるので、

きちんと治るまで油断しないようにしましょう。

 

心配なら病院へ行って、しっかり医師の診察をうけてくださいね。